福知山がいかに豊かな山海の幸が集まる場所であるか、それを最も実感するのは、バルにしむらーののオーナーシェフ、西村純一さんの様な料理人の料理を目の前にしたときかも知れない。
バルにしむらーのは2017年に福知山駅の北側にオープン。西村さんは料理人を志ざして単身でスペインへ飛び、現地の星付きレストランで8年間修行を積んだ後、東京の有名レストランで総料理長を務めたという華麗な経歴の持ち主。縁があり、子ども時代を過ごした福知山へ戻り、今に至る。
「どこにいてもやることは同じ」と言う西村さん。毎朝車を走らせ、舞鶴や伊根、宮津の漁港を訪ね、自ら目利きをしてその日の新鮮な食材を仕入れる。山間部でも同様に、農業者や畜産業者の元へ直接出向き、上質な野菜や肉を手に入れる。それは、スペインにいても東京にいても同様にやっていたこと。環境が変わると当然、手に入る食材は変わるが、そこは経験に裏付けされた知識と技術の見せ所。ここでしか味わえない一皿が生まれる瞬間でもある。
まさに、柔軟な調理法やアイデアを受け容れ、素材のポテンシャルを活かすことに長けたスペイン料理の真骨頂とも言える。
最近の西村さんはこの福知山の環境の中で、自らも海で釣り糸を垂らし、川でうなぎや鮎の罠を仕掛け、山へきのこを狩りに行く。子どもの頃に見ていた、自分の親たちがやっていたことを今は自身が楽しんでいると言う。自然と対峙し、何かに没頭できる時間を持つことで興味やアイデアの幅が拡がる今、料理人という枠の中にさえも収まらない。今後は地元の食材を使った加工品など、その場で味わう料理だけでなく、距離や時間を越えて楽しめるような商品開発の構想もあるとか。基本は自分が美味しいと思えるものをいかに多くの人に提供できるか。これからのチャレンジも楽しみだ。
住所:京都府福知山市西本町126
電話:0773-22-2211
HP:https://nishimura-no.wixsite.com/jun1
Instagram:@nishimura_no